バーク『フランス革命の省察』(22)立法における2つの目
I was, indeed, aware that a jealous, ever-waking vigilance, to guard the treasure of our liberty, not only from invasion, but from decay and corruption, was our best wisdom and our first duty. However, I considered that treasure rather as a possession to be secured than as a prize to be contended for.
(成程、私は、自分達の自由という宝を、侵害からだけでなく、衰退や腐敗からも守るために、嫉妬深く、常に起きている寝ずの番が、私達の最高の知恵であり、第1の義務であると承知していました。しかしながら、私はその宝を、争うべき賞品というよりは、むしろ確保すべき所有物と見做しておりました)―
cf. 半澤訳、p. 69
The
Revolution Society has discovered that the English nation is not free. They are
convinced that the inequality in our representation is a "defect in our
Constitution so gross and palpable as to make it excellent chiefly in form and theory";
—that a representation in the legislature of a kingdom is not only the basis of
all constitutional liberty in it, but of "all legitimate government; that
without it a government is nothing but an usurpation"; —that, "when the
representation is partial, the kingdom possesses liberty only partially; and if
extremely partial, it gives only a semblance; and if not only extremely
partial, but corruptly chosen, it becomes a nuisance."
(革命協会は、イギリス国民が自由でないことを発見されました。彼らは確信しているのです。我が国の代表制が不平等であることは、「重大で明白な我が国制の欠陥であるので、優れているのは、形式と理論だけになっている」と。王国の立法府における代表制は、その国のすべての国制上の自由の基礎であるだけでなく、「すべての合法的な統治の基礎でもあると。それがなければ、統治は強奪に過ぎないということを」。「代表制が不公平であれば、王国は不公平にしか自由を持たず、極端に不公平であれば、上辺だけのものになり、極端に不公平なだけでなく、腐敗した中で選ばれるなら、厄介なものになると)―
cf. 半澤訳、p. 71
が、平等が絶対であるという「平等主義」だからこのように言われるだけである。平等に拘泥(こうでい)さえしなければ、別の遥かに現実的な議論が成り立つ。
モンテスキューは、次のように言う。
《国家にはつねに出生、富または栄誉によって卓越した人々がいる。しかしもしかれらが人民の間に混同され、他の者と同様に一票しか持たぬとすれば、一般の自由はかれらにとっての奴隷制にほかならず、かれらはこの自由を擁護することになんらの関心も持たぬであろう。なんとなれば大部分の議決はかれらの利益をそこねるものであろうからである。
したがってかれらが立法にたいして持つ割前(権利の度合)はかれらが国家内に持つ他の利点と比例すべきである。これが行なわれるには、人民がかれらの企図を阻止する権利を持つように、かれらも人民の企図を阻止する権利のある団体を構成すべきである。
かくて、立法権は貴族団と、また、人民を代表するために選出された団体とに委託されるであろう。両者はそれぞれ別個の集会・討議を持ち、別個の見解・利害関係を持つであろう》(モンテスキュー「法の精神」第11篇 第6章「イギリスの国家構造について」:『世界の大思想16』(河出書房新社)根岸国孝訳、pp. 154f)
これは、立法に2つの目があることを意味する。1つは、貴族団による世襲的な目、もう1つは、代議士による世論的な目である。この2つの目を掛け合わせて立法する必要性をモンテスキューは説いているのだと思われる。
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