ザ・フェデラリスト(3)国民の自然権の一部を政府へ移譲する必要
Nothing is more certain than the indispensable necessity of government, and it is equally undeniable, that whenever and however it is instituted, the people must cede to it some of their natural rights, in order to vest it with requisite powers. -- The Federalist Papers (1787-88): FEDERALIST 2 Concerning Dangers from Foreign Force and Influence by John Jay
(政府が必要不可欠だということ以上に確かなものはありませんし、政府がいつ、どのように設立されようと、国民は、必要な権限を付与するために、国民の自然権の一部を政府に譲らねばならないことも、同様に否定できません)―『フェデラリスト・ペーパーズ』:フェデラリスト2
外力・影響力による危険について ジョン・ジェイ
これはまさにトマス・ホッブズやジョン・ロックの流れを汲む「社会契約説」である。
《人々が外敵の侵入から、あるいは相互の権利侵害から身を守り、そしてみずからの労働と大地から得る収穫によって、自分白身を養い、快適な生活を送ってゆくことを可能にするのは、この公共的な権力である。この権力を確立する唯一の道は、すべての人の意志を多数決によって1つの意志に結集できるよう、一個人あるいは合議体に、かれらの持つあらゆる力と強さとを譲り渡してしまうことである。
ということは、自分たちすべての人格を担う一個人、あるいは合議体を任命し、この担い手が公共の平和と安全のために、何を行ない、何を行なわせようとも、各人がその行為をみずからのものとし、行為の本人は自分たち白身であることを、各人が責任を持って認めることである。そして、自分たち個々の意志を彼の意志に従わせ自分たちの数多くの判断を彼の1つの判断に委ねる。
これは同意もしくは和合以上のものであり、それぞれの人間がたがいに契約を結ぶことによって、すべての人間が一個の同じ人格に真に結合されることである。その方法は、あたかも各人が各人に向かってつぎのように宣言するようなものである。「私はみずからを統治する権利を、この人間または人間の合議体に完全に譲渡することを、つぎの条件のもとに認める。その条件とは、きみもきみの権利を譲渡し、彼のすべての活動を承認することだ」》(ホッブズ「リヴァイアサン」:『世界の名著23』(中央公論社)永井道夫・宗片邦義訳:第17章 コモンウェルスの理由、生成、定義について、pp. 193f)
It is well worthy
of consideration therefore, whether it would conduce more to the interest of
the people of America that they should, to all general purposes, be one nation,
under one federal government, or that they should divide themselves into
separate confederacies, and give to the head of each the same kind of powers
which they are advised to place in one national government. -- The Federalist Papers (1787-88): FEDERALIST 2 Concerning
Dangers from Foreign Force and Influence by John Jay
(したがって、アメリカ国民が、すべての一般的な目的のために、1つの連邦政府の下で1つの国家となるべきか、それとも、自らを別々の連合体に分割し、1つの国家政府に与えるよう勧告されているのと同種の権限をそれぞれの長に与えるべきかのどちらがよりアメリカ国民の利益を齎(もたら)すかは、十分検討に値します)―『フェデラリスト・ペーパーズ』、同
要は、「規模効果」(スケールメリット)をどう考えるのかということである。
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