ザ・フェデラリスト(11)良いとこ取りの連邦制

Some of the writers who have come forward on the other side of the question seem to have been aware of the dilemma; and have even been bold enough to hint at the division of the larger States as a desirable thing. Such an infatuated policy, such a desperate expedient, might, by the multiplication of petty offices, answer the views of men who possess not qualifications to extend their influence beyond the narrow circles of personal intrigue, but it could never promote the greatness or happiness of the people of America. -- Federalist No. 9: The Utility of the Union as a Safeguard Against Domestic Faction and Insurrection: by Alexander Hamilton

(この問題の反対側に立つ作家の中には、このジレンマを認識していたような人もいて、大胆にも大きな州を分割するのが望ましいとさえ仄(ほの)めかしてきました。このような心酔的な政策、必死の方法は、役職を僅かに増やすことによって、狭い範囲での個人の陰謀を超えて影響力を拡大する資格を持たない人々の意見には応えるかもしれませんが、決してアメリカ国民が偉大であり幸福であることを増進できないでしょう)― フェデラリスト9:国内の派閥と反乱に対する安全装置としての連邦の有用性:アレクサンダー・ハミルトン

So far are the suggestions of Montesquieu from standing in opposition to a general Union of the States, that he explicitly treats of a CONFEDERATE REPUBLIC as the expedient for extending the sphere of popular government, and reconciling the advantages of monarchy with those of republicanism. – Ibid.

(モンテスキューの提案は、全国家連合に反対する立場では決してなく、人民政府の領域を拡大し、君主制の利点と共和制の利点を調和させるための手段として、明確に連合共和制を論じているのです)― 同

 モンテスキューは言う。

《国家が小なるときは、外力によって破壊せられ、大なるときは内部的欠陥によって滅亡する。

 この二重の不都合は、民主政をも、貴族政をも、それらが善良であろうと、不良であろうと、ひとしくそこなうものである。病は物それ自体の中にあり、それを癒すべきいかなる政体も存しない》(モンテスキュー「法の精神」:『世界の大思想16』(河出書房新社)根岸国孝訳、第2部:第9篇 法と防禦力との関連について:第1章 共和国はいかにしてその安全にそなえるか、p. 133



 何事も、光もあれば、影もある。国を大きくすれば、対外的には強くなるが、対内的にはどうしても肌理(きめ)が粗くならざるをえない。一方、国を小さくすれば、内部の問題に目が行き届きやすくなるが、外圧に対して脆弱(ぜいじゃく)となる。まさに「両刀論法」(dilemma)の様相が呈される難題なのである。

《だから、おそらく人間は結局ただ1人の政体の下に永久に生活することをよぎなくされたはずである。もしも共和政のあらゆる対内長所と君主政の対外的勢力とをかねそなえる一種の国家構造を考え出さなかったとすればである。わたしのいうのは何をさすかといえば、連邦的共和政のことである》

 「連邦制」は、幾つかの小邦が、対外的には統一的主権国家として振る舞い、対内的には独立性を維持するという謂わば良いとこ取りの体制である。

《この政治形態は1つの協定であって、これにより数多の政治団体がその形成せんとする、より大なる国家の市民となることに同意するのである。これは多数の社会が合して1つの社会をつくる、社会の社会であり、それはその威力が結合せる各員の安全を保証するにたるまで、新加盟員によって拡大することができる》(同)

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