ザ・フェデラリスト(15)民主主義国と共和国の違い
The two great points of difference between a democracy and a republic are: first, the delegation of the government, in the latter, to a small number of citizens elected by the rest; secondly, the greater number of citizens, and greater sphere of country, over which the latter may be extended. -- FEDERALIST 10: The Same Subject Continued: by James Madison
(民主主義国と共和国の2大相違点は、第1に、後者では、国民によって選ばれた少数の国民に統治が委ねられること、第2に、後者が拡大できる国民がより多数で、国の領域がより広大であることです)―
フェデラリスト10:続き:ジェームズ・マディソン
マディソンの言う民主主義国と共和国の違いは、今で言うところの直接民主制と間接民主制の違いと変わらないように思われる。直接民主制は、かつてアテナイで行われていた政治がその典型とされ、顔を見知った人達が集まり、「合意」によって政治を進めたものである。が、これは小さな社会においては有効であっても、大きな社会では成り立たない。だから、大きな社会では、自分たちの代表を選び、代議員が国会で議論し、「多数決」で物事を決めて行く間接民主制となっているわけである。
※ 日本は間接民主制を敷いているが、君主たる天皇が存在するので、本来は、共和国ではなく君主国と言うべきである。君主が存在するのに国民主権の民主主義などと言うと矛盾である。だから、大正デモクラシー期、吉野作造は「民本主義」と称したのである。
The effect of the
first difference is, on the one hand, to refine and enlarge the public views,
by passing them through the medium of a chosen body of citizens, whose wisdom
may best discern the true interest of their country, and whose patriotism and
love of justice will be least likely to sacrifice it to temporary or partial
considerations. Under such a regulation, it may well happen that the public voice,
pronounced by the representatives of the people, will be more consonant to the
public good than if pronounced by the people themselves, convened for the
purpose. -- Ibid.
(一方では、第1の違いの効果は、知恵が自国の真の利益を最もよく見分けることが出来、愛国心と正義愛が、一時的または部分的な配慮のためにこれを犠牲にする可能性が最も低い、選ばれた市民団体に公共の見解を通すことによって、これを洗練させ、拡大させることです。このような規制下では、国民の代表によって発せられる公衆の声の方が、その目的のために招集された国民自身によって発せられる場合よりも、たまたま公益に合致するやもしれません)―
同
On the other hand,
the effect may be inverted. Men of factious tempers, of local prejudices, or of
sinister designs, may, by intrigue, by corruption, or by other means, first
obtain the suffrages, and then betray the interests, of the people. -- Ibid.
(他方、この効果は逆になるかもしれません。派閥争いの好きな人、地方的偏見を持つ人、邪悪な企(たくら)みを持つ人が、陰謀、買収などの手段によって、まず国民の投票を得て、次にその利益を裏切るかもしれません)―
同
The question
resulting is, whether small or extensive republics are more favorable to the election
of proper guardians of the public weal; and it is clearly decided in favor of
the latter by two obvious considerations:
(その結果、公共の福祉の適切な守護者を選出するのに、小さな共和国の方が有利なのか、大規模な共和国の方が有利なのかという問題が生じますが、これは2つの明白な結果によって、後者に有利であることは明らかです)―
同
In the first
place, it is to be remarked that, however small the republic may be, the
representatives must be raised to a certain number, in order to guard against
the cabals of a few; and that, however large it may be, they must be limited to
a certain number, in order to guard against the confusion of a multitude.
Hence, the number of representatives in the two cases not being in proportion
to that of the two constituents, and being proportionally greater in the small
republic, it follows that, if the proportion of fit characters be not less in
the large than in the small republic, the former will present a greater option,
and consequently a greater probability of a fit choice. – Ibid.
(第1に、共和国がどんなに小さくても、少数の陰謀から守るために、代表者は一定数まで増やさねばなりませんし、共和国がどんなに大きくても、多数の混乱から守るために、代表者は一定数に制限されねばならないことに注意せねばなりません。したがって、2つの場合における代表者の数は、2つの有権者の数に比例せず、小共和国の方が比率が高いので、適した人物の割合が大共和国の方が小共和国より少なくなければ、前者の方がより多くの選択肢を提示し、結果として適した選択の可能性が高くなるのです)―
同
代議員の定数は、国の大小によって大きく異なるものではない。であれば、大きな国の方が、小さな国よりもたくさんの国民の中から選抜することが出来るから優秀な人材を選べる可能性が高くなるという理屈である。が、それは、大きな国も小さな国も国民の能力が同じであるということが前提となる。が、仮に小さな国の方がより密度の濃い教育が出来、能力の高い国民が多いということになれば、この前提は崩れる。
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